作者より

 私は世の中を良くしたいと思っている。なぜなら、世の中が良くなったら面白いからである。私には「世の中の全ての人たちが自分の立場における役割や義務・責任を果たす事ができれば世の中なんて勝手に良くなる」という持論がある。従って私は自分の立場における役割や義務・責任を果たす為にベストを尽くす事にしている。そして面白いと思った事は金にならなくてもやるし、つまらないと思った事は金になってもやらない。誰に嫌われようが、誰が敵に回ろうが、それだけ貫いていれば間違いないというのが私の信念である。私に関わる人間には、なるべく安らぎや平穏、興味や楽しみといった、その人にとって何かプラスになるものを与えられたら嬉しいと思っている。なぜなら、それによってそれらの人たちが幸福に近付く事ができたら面白いからである。面白いと思った事は何でもやる。小説を書いたのだって、ホームページを作ったのだって、面白いかな、と思ったからである。人生なんて面白ければ何でもいいと思っているし、クソつまらない人生なんて生きる価値もないと思っている。死ぬ間際になって振り返ってみた時に、ああ面白かった、つって死ねる人生を送る事、それが私の夢である。よくバカだのキチガイだのと言われて人生を過ごしてきたが、そんな事は自覚の上である。そんな事に負い目に感じた事など一度もない。これから先も、誰に何と言われようが、どう思われようが、いつでも信念を貫ける人間でありたいと思う。誰の為でもない、全ては私自身の為に、私が私である為に、私が人生を楽しむ為に。そして私は絶対に私を裏切らない、確かな事はそれだけである。静かに、秘かに、人知れず人生を楽しみたい。


novel2
精神分裂者の逆襲
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my little terror -
小説:あらすじ

なぜ、自分はこんな状態に陥ってしまったのだろう。全ての答えは過去にある。孤独と絶望の中、精神の異常に見舞われたMは、一人暮らしのアパートでただ一人、自らの過去と精神の分析を開始する。そこで頭の中に描き出された世界の図式、関わる全てのメカニズム。机上の空論で、世界平和への道筋を導き出したMは、その理論を実践すべく、直ちにベンチャー企業であるW教育通信社に入社する。誰でも採用してしまう社長。その為もあってか、誰からも歓迎されず、期待されず、入社早々膨大な量の仕事を任される事になるMだが、W教育通信社の社員たちは、社長から与えられる膨大な量の仕事と限られた時間に追われ、皆一様に苦しんでいた。皆に向け、ホームページを使って様々な書き込みを展開しようと試みるM。しかしMは、ホームページの内容だけでなく、自分のプライバシーや言動までもが外部に漏れていると感じていた。そんな状態の中、バカにされ、舐め腐られ、怒鳴られ、呆れられながらも必死に仕事に取り組むM。動作がトロイ、思考が鈍い、物忘れが激しい、言葉がうまく出てこない、そんな自分に歯痒さを覚えながらも、自らの可能性を信じて成長しようと奮闘する。会社の内部は荒んでいた。社員同士が繰り広げる不協和音の中で、元ヤクザの社員ヤッさんや、心を許せる同僚の闇医らと共に、少しずつ成長を遂げるMだが、自分のプライバシーが侵害されている事に動揺を隠せない。
 
一方、Mは世界平和を実現する為、一流の営業マンであり、一流の交渉術を持つ社長を政治家にしようと決意する。その方法は、社長自ら政治家になるよう仕向けるというもの。会社を変える為には、社長を変えなければならない。一流は全てに通ず。社長は政治家としても、人間としても一流になれる可能性を秘めている。もちろん、社長としても。行動を変える為にはまず意識を変える事、考え方を改める事だ。Mの展開する様々な書き込みに、良くも悪くも興味を示す社員たち。誰もが世界平和への道筋を想像できるように導く事ができれば、世界平和は実現できる。そんな考えの元、自らの理論を実践し、会社や世の中を変えてやろうと目論むM。当初鼻にもかけられなかったMの書き込みが、徐々に会社の内部を変えていく。少しずつ皆から認められ始めるMだが、プライバシーを侵害してくるストーカーの存在に、より一層精神を追い込まれてゆく。自分のプライバシーは本当に侵害されているのか。妄想か、はたまた現実か、動揺するMの思考は増幅する。近未来、社長はこの国の首脳となり、世界平和実現への取り組みを開始する。しかし、その発端であるはずのMの書き込みは、テロへと向かう道を示唆していた。